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[コメント] ゴジラ対ヘドラ(1971/日)

ヘドラの邪眼が語る、70年代の悪夢。
水那岐

まさに世に「怪しい獣」数あれど、あれほどに「グロテスクで淫靡な獣」が子供向け映画に登場したのは(TVには「あの」『スペクトルマン』の怪獣群があるが)例を見ないのではないか。公害にむしばまれた異形の体にふたつ陰鬱に覗く邪眼…そのモチーフはなんと女性のヴァギナだというのだ。日野日出志がデザインしたといっても納得してしまいそうなその70年代ならではの異形…(実は水木しげるデザインというデマもあった)。

そう言えば、公害病をモチーフにしたホラー漫画などという、現在では考えられないものがその頃、確かに存在していたのだ。オットセイちん●で有名な横山まさみちは、工場廃液を飲んでその無害性をアピールしようとした工場長の息子が、どろどろに溶けて恋人にも判別できない姿になり、やがて「助けてくれ〜」と言いながら液体になって流れゆく漫画を描いた。作者が判らない「恐怖の公害病」などという三文モンスター漫画もあった。ウミウミ病なる病に冒された女は、妖怪としか思えない醜悪な姿で公害企業の社長を襲う…そこに良識は存在しなかったが、汚れた時代の空気を呼吸する、確かな共同意識があった。

ヘドラ…やはり彼もまた時代の申し子だったのであろう。2004年に復活する彼は、我々に何を語りかけるのだろう?

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (5 人)寒山拾得[*] すやすや おーい粗茶[*] kiona[*] けにろん

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