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[コメント] ドラゴンヘッド(2003/日)

絶望と希望をテーマとするのなら、なぜこんなにウソ臭い絶望的光景ばかりを提示するのだ。漫画が原作だからって言い訳は通用しない。
水那岐

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







とにかく妻夫木とSAYAKAを「希望」の軸に持ってくるため、ありとあらゆる「絶望」が用意されるわけだが、それらがみんな漫画では許されても映画では到底許し得ないシチュエーションばかりだ。とくにロボトミー手術を受けた子供、さらには暴動を起こさないために避難民に配られる感情抑制剤入りのカンヅメあたりには非常に白けた。妻夫木も「こんなことになったら普通死んでるか手足を折ってるぞ」と思わされる場面で、ちゃんと五体満足で生きている(例えばヘリから吹き飛ばされるシーン)。「希望」と言うよりは御都合主義だ。

せいぜい観られるのは渋谷を襲う火山弾の特撮ぐらいだ。ここまでに2時間。そのうち退屈極まりないトンネルシーンで40分浪費している。その間チープで陰鬱な画面が延々続く。同じ日に先に、爽やかな映画を観ていて得た何とも言えない高揚感は見事に吹き飛んでしまった。いい気分を返せ。いや、陰鬱な感銘というものもあるだろう。だがこれを観て感じたのは感銘などではなく、単なるのっぺらぼうな虚無感だけだった。ここまでやられて「生き抜いてやる」もないもんだ。世界中あんな現状なんだったらどこに逃げても夢なんてないだろう。ケナゲな二人がおめでたくてしょうがないよ、全く。

(評価:★1)

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