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[コメント] まぼろし(2001/仏)

愚かなほどに信ずること、それが愛情と呼ばれるものなのだろう。シャーロット・ランプリングは既に老女と呼んでいい皺を隠さない。でも、光の当たる角度によってハッとするほど美しい。
水那岐

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







夫は帰らない。でも彼女は夫に似合う服を買う。夫がもういないことを示すいくつもの証拠が提示される。でも彼女は、友人と同衾したことを激しく後悔する。

夫らしき男の腐乱死体を見せられたあと、彼女は夫が死んだとされる砂浜に出かける。ふと、遠くに大柄な男の姿を見つける。それは今までも幾度となく見せられた幻覚であったようにも見える。だが、彼女は駆けてゆく…そしてあさっての方向に走り抜けてゆく。彼が夫でないことを知っても、おのれの愚かさを押しとどめようもない。それを知っても、なおも走ってゆかずにはいられない。

夫の死の瞬間を見届けられなかった、その不運の呪縛。彼女がそこから逃れ出ることはできたのだろうか?その結末は彼女の愛情の深さだけでは推し量ることはできないのだろう。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)みくり グラント・リー・バッファロー[*] makoto7774[*] セント[*]

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