[コメント] スミス都へ行く(1939/米)
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移民たちが創り上げた、とても若い国、アメリカ合衆国。この映画を観ると、政治制度にしても社会ルールにしても、自分達が自ら作り上げたものであり、それを自分達自身で守っていかなきゃいけないっていう共通認識が国民に生まれつきすり込まれているんだなぁと実感させれれる。普段からアメリカの悪口ばかり言ってる自分だが、そういうところは正直ちょっとうらやましい。
スミス青年のようなクソ真面目な人間も、黒幕テーラーのような悪党も、実は世間にはあんまり存在しない。殆どの人達は彼等両極端の中間で、理想と現実のはざまで葛藤や大なり小なりの後ろめたさを感じながら生きている。この映画の登場人物で言えば、クラリッサ・ソーンダース(ジーン・アーサー)であり、ペイン議員(クロード・レインズ)である。こうした人々の姿をきっちり描いているところが、この映画の一番優れているところだと思う。
ジーン・アーサーは特に魅力的。最初の頃はスミスを完全にバカにした態度をとっていたのが、彼の実直な人柄に触れていくうちに惹かれていく。キャンプ場の議案を作成するのを手伝ってあげるシーンは一番好き。姉が弟の面倒を見るように、的確なアドバイスを授ける。スミスは「こんな有能な人は初めてだ」と感激する。そして彼の青臭くも熱い語りを聞いているうちに、彼女の方も彼に対する好感を深めていく。『或る夜の出来事』もそうだったが、フランク・キャプラは、最初は何とも思っていなかった男女がだんだん惹かれあっていく過程をとても自然にステキに描くのがとっても上手い。
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