[コメント] ビッグ・フィッシュ(2003/米)
大人になんか、ならないで。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
「大人になった、ティム・バートン」の前評判が気になって、多少の不安を抱きつつ、
観に行ってきました。
「おはなし」を創ることそのものに執着し、
素敵な「嘘」で塗りかためられた映画をたくさん撮り続けてきたバートンが、
一歩立ち止まって自省するかのような作品。
それはまるで、おもちゃ箱をひっくり返して遊び呆けてた子が、
急に静かになって散々散らかした部屋を不思議そうにじっと見ている、そんな感じ。
きっとアルバート・フィニー /ユアン・マクレガー 演じるあの父親像は、
バートンそのものなのでしょう。
だとしても、父親の与太話にうんざりしているあの息子役こそバートン彼自身なのか もしれません。
終盤、息子が、父親の「最後のおはなし」を変わって語り聞かせるあのシーンは、
見事としか言いようが無く、映画的なカタルシスに満ち溢れ、観るものを否応無く熱 くします。
「嘘」=「ファンタジー」の世界から飛び出してきた奇妙な登場人物たちの葬列は、
父親がついた嘘がどのくらいの割合で真実だったか?の答えであったと同時に、
父親と息子の最終的な和解への祝福でもあったはずです。
ともあれ、ティム・バートンは、通過儀礼を終え、おもちゃ箱を片付けたところのようです。
願うのは、このままつまらない大人になんか、ならないで、ということだけです。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (5 人) | [*] [*] [*] [*] [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。