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[コメント] 寝ても覚めても(2018/日)

すごく眩しい光を見ると、しばらくまともにモノが見えなくて、残像だけがまぶたの裏にこびりつく。それで暗いところに入ると、目が慣れるまでにほんの少し時間が必要で。暗さに慣れてくると、またちゃんとモノが見えてくる。そんな感じがとても上手く表現されていた。
IN4MATION

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







朝子にとって、麦(バク)との出会いは物凄く強烈で、眩いほどの輝きを放っていたのだろう。

出会って数分でキス。劇的だ。

彼がいなくなってからも、彼の残像だけが彼女に影を落とす。2年とちょっと。

そこに麦とそっくりな顔を持つ亮平が現れる。

最初は顔から入った朝子だったけれど、交際を続けた5年の歳月はそんなことお構いなしに亮平の中身を好きになっていった。

そして突然。

再び朝子の前に麦が現れたものだから、朝子は亮平を捨て麦と逃避行に走る。

「高速降りたの?」

同じ台詞が二度出てくる。

どちらも助手席で朝子が眠っている間に、亮平、麦が市街路を走っている際に発せられる言葉。

麦と逃げてきたはいいけれど、麦は麦、亮平は亮平。

この5年間にわたしを愛してくれたのは亮平。

今、わたしが好きなのも亮平。

もう麦じゃない。

そう気づいて引き返す朝子は、亮平にこっぴどく拒絶される。

でも、多分、きっと、亮平は朝子をいつか許すし、朝子は亮平をこれから先ずっと愛し続けると思う。

tofubeats が歌うエンディング曲「RIVER」の歌詞にも「一度生まれた愛は二度と切れることなく」とふたりの復縁を匂わせている。

顔がそっくりっていう(しかも一方はいまや有名人)、まぁ、あり得ない展開以外はどんな女の子にだってありえる話。

明るいところから暗いところに入って、暗反応が起こって目が慣れてくると、見えなかったことが次第にはっきり見えてくる。

麦という光の眩さのせいで、亮平が一瞬見えなくなったけれど、時間が経てば自分を愛してくれたのは誰か、ちゃんと見えた。

そういう話。

しかし、寝ても覚めても人目も憚らずにキスしてるな、このふたり。笑 そういう意味のタイトルではないことはわかるけれども。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ゑぎ[*] [*]

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