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[コメント] 殺さない彼と死なない彼女(2019/日)

白い光の映画。意図的な露光オーバー。確かに高校時代は白い光に溢れていたような気がする。当事者だった時は、気にしていなかったし、それは今の彼らもそうかもしれない。ならば、ジジイ・ババアが思い出す際のバイアスではないのか。この光の選択は、私は好きではない。
ゑぎ

 とは云え、本作も、私が見た近作の日本映画の中では、ちょっと頭抜けている(そんなに沢山見ているわけでもないので、口幅ったいですが)。

 「未来の話」の連鎖(連環)の映画。撫子(箭内夢菜)が八千代(ゆうたろう)に。小坂(間宮祥太朗)が鹿野(桜井日奈子)に。鹿野が撫子に。見ている間は、少々目が潤んだ程度だったが、見終わって思い返し、反芻していると、何度も何度も泣きそうになる。我慢するのが大変。”面倒くせぇ”映画だ。

 私の感覚で、女子の面白さの順を書くと、撫子>地味子(恒松祐里)>鹿野>きゃぴ子(堀田真由)、の順になる。撫子の科白と科白回しを買う。「八千代君、好き」の反復場面なんて、あざとい演出だと思うが、きっちりしっかり、決めるとこは決めてくれた、とも思う。

 きゃぴ子と、男子や彼氏(金子大地)とのシーンは、他のプロットとの連関が希薄だし、面白さも僅少なので、ほとんど不要と考える。こゝを削って、100分ぐらいの尺が望ましい。ついでに云うと、鹿野も、きゃぴ子同様、キャラが、作り物臭く、作り物として類型的に思える。お笑いコントの登場人物で見たことがあるようなキャラ設定というか。

 ラスト近くの森口瑤子の登場もサプライズがあって良かったが、『君の膵臓をたべたい』の長野里美の泣き顔には勝てていない。

 とは云え(天邪鬼で難点をいろいろと書いてしまったが)、私の心に大きなものを残してくれたのは事実だし、実はメチャクチャ気に入ってしまったのだ。我ながら、自分の感傷癖には嫌になるが、難点を補って余りある「切なさ」がある。今、再見すると、開巻3秒(間宮のウェストショットで蜂が横切るあたり)で泣く自信がある。とにかく「未来の話」を繋ぐという部分において、ちょっと頭抜けている。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ぽんしゅう[*] けにろん[*]

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