コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] イン・ザ・ハイツ(2020/米)

波が打ち寄せる浜辺の大俯瞰。とびっきり綺麗なカットで、この開巻を見た瞬間に、いい映画に決まっている、と感じた。続いて、海の家のような場所で、子供たちに、お話を始める主人公ウスナビ。彼の回想という体(てい)で、メインのプロットがスタートする。
ゑぎ

 ヒロインは2人。ヴァネッサとニーナ。ヴァネッサは美容院のネイリスト。ウスナビが想っているのは彼女。ニーナは優等生で町のスター。スタンフォードをやめて町に帰ってくる。ウスナビには妹のようなもの。彼女には、ベニーという恋人がいる。差別に関する言及は本作の中ではニーナが一番体現する(ヴァネッサと不動産屋の描写もあるが)。また、ヴァネッサが常に胸元の開いた(胸を強調する)服を着ており、ニーナはそうではない、という対比は、現在では、少々複雑な気持ちにさせられるが、アメリカ映画の伝統の継承という動機も強いのだろう。

 ミュージカルシーンでは、ダンスクラブやプール、アパートの中庭?(国旗や洗濯物の干してある空間)などを舞台にした力強い造型が繋がれ、見応え十分だが、プロダクションに金のかかった、大規模なミュージカルナンバーはない(プールがセットなら別だが)。ただし、ニーナとベニーによるアパートの外壁でのダンスは特筆すべきだろう。全編で一番スペクタキュラーなのは、このシーンだ。ダンスを始める前から夕陽の斜光がずっと取り入れられる画面も美しい。このシーンもそうだが、ドラマ部分も含めて、全編に亘ってジョージ・ワシントン・ブリッジが後景にある風景がいい。

《以下、ネタバレ注意!(ただし、ネタバレ感度によると思います)》

 あと、ウスナビが子供たちへ「お話」を語る冒頭シーンに何度も戻るのはどうだろうか。私は、若干、テンションが中断される感覚を持った。さらに、中盤で子供たちの中の、一番目立つ子が、ウスナビの娘だと分かるので、ウスナビとヴァネッサが結ばれるというハッピーエンディングが、自明になるのもどうかと思った。ハッピーエンディングの見せ方は、予想を覆す捻ったものでしたが。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (2 人)けにろん[*] 緑雨[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。