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[コメント] 子供はわかってあげない(2020/日)

面白い!全体に、ゆったりした、不思議な間がいい。上白石萌歌の、真面目な時に笑ってしまうキャラが良く出来ているが、上白石だけでなく、登場人物は皆、屈託がなく素直なのだ。
ゑぎ

 あらゆることを、あるがまま受け入れていく。泣くシーンもあるが、大声で泣いたりしない。怒鳴ったりもしない(日本映画でも韓国映画でも怒鳴り合う場面が大嫌いだ)。

 さて、オープニングはアニメーションで、実は私は、これちょっと違ったかも、と思ってしまったのだが、細田佳央太と上白石が、屋上ドアの踊り場から階段を2人でアニメについて会話しながら一階まで降りるカットを見た時点で、最初のアニメーションの必要性を至極納得いたしました。しかし、このステディカム後退移動の長回し、見事な演出ではないか。

 あと、細田が子供たちに教える書道教室のシーンがいい。庭で見る上白石。彼女の表情もとてもいい。続く上白石の習字。このシーンの長い間。人に何かを教える、という主題も素直に素直に描かれる。いや、教え教えられる、という場面だけでなく、会話シーンでは丁寧な挨拶や、正座で正対した人物の配置なんかも何度も繰り返され(ま、半分ギャグではあるのだが)、見ていて気持ちいがいいのだ。

 また、この映画、笑える部分が沢山あるが、合宿中の友人との電話でのやりとりの反復は面白い。この中で、必ず後景で聞いていて反応する、眉毛の太い女の子が簡潔に挿入される。これが上手いと思う。演者では、千葉雄大は上手い役者になってきたと思った。豊川悦司は、これぐらい当たり前の出来だろうが、あらためて日本映画には欠かせない役者だと思う。そういう意味では、本作のきたろうは出番が少なく残念だった。

 尚、スマホ水没後の展開は、もっと面白くなるかと期待したのだが、細田が全速力で走ってやってくる、というあざとい演出を導いたにとどまり、期待外れに終わった。浜辺の細田のシーンで、突然、上白石が出現する辺りも、ちょっとあざとい。全力疾走は、ラスト近くで、上白石が、学校の階段を屋上に駈けあがるというカタチで繰り返される。この屋上のシーンは、なんて可愛いシーンだろう。こゝでも2人は正座で正対する。「発狂しそう」という科白が可愛い。

(評価:★4)

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