コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] ゆれる(2006/日)

見終わったあとの波紋
きわ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







つり橋の場面の見せ方が本当に上手だ。兄の四つんばいになった姿勢からは、突き落とした後なのか、助けようとして失敗した後なのか、どちらとも取れる。意味深な腕の傷さえ、冒頭でしっかりみせているのに、それが「助けようとして失敗した痕」というイメージにはならず、結局思い出されないまま最後に持ってくる。あの事件のシーンを何パターンにも、何度もくり返すたびに、静かにどんでん返しが起きて、そして最後に本当のどんでん返し。

しかし実際はシンプルな話なんだ。ひとつの事件が起こって、2時間ずっとそれだけで話は進む。でも見終わった後、とても複雑なストーリーを観た気分になった。

「ラストシーンのあの後、兄弟はどうしたのだろう?」という疑問から始まり、「なぜ弟は兄を陥れたのか」「なぜ兄は甘んじて受け入れたのか」と考えがめぐる。一個一個考えていくと、シンプルなストーリーの語られてない部分がとても面白くて、勝手に自分でストーリーを考えられる。それが複雑だと感じさせる部分なんだろう。

「自分への憎悪を剥き出しにした兄の変貌にショックで激昂したのか、弟?」「七年も無実の罪を着てわざとぶち込まれたのは、弟に真実を知る重さと罪悪感を背負わせたかったからか、兄?」とどんどん想像が広がる。でも「あの後兄弟はどうしたのだろう?」というのだけは、いくつもパターンが浮かんで結局わからない。(07/12)

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (3 人)カルヤ[*] TOMIMORI[*] Keita[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。