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[コメント] I am Sam アイ・アム・サム(2001/米)

作り手のハートが伝わる素晴らしい映画。やっぱり、愛には勝てない。すべての人が、ドーソン親子の弛まぬ愛情に、温かく包み込まれてしまう。2人の間には、いつまでも”ストロベリー・フィールズ・フォーエバー”が流れているようだった。
Pino☆

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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 久々に映画館で号泣してしまった。最愛の娘を施設に奪われ、失意にくれる知的障害を持った父親が、法廷で娘の親権を争うという予告編を見たときに、すでに大体のストーリーは予測がついていたし、実際、その予測と全く異なるラストが用意されていたわけでもないのだが、自然に感情移入し、何度も感涙してしまった。きっと、作り手のハートが映像に注ぎ込まれているからだろう。純粋に感動にしてしまった。

 ラストは、里親とルーシー、サムの関係、リタとサムの関係、リタの家庭の問題など、多少疑問が残る終わり方となっているが、全てを明らかにしてしまうよりも、美しい終わり方だったと思う。観客に少しだけ考える余地を残すというのも心憎い演出だと思う。

 もともとジェシー・ネルソンは、TVドラマなどで、家族愛を描くのが上手な脚本家だったそうだが、それも十分うなずける構成だった。感情表現が見事で、登場人物の感情は、俳優の演技だけでなく、カメラワーク、カット割り、音楽など映像全体で表現している。

 そのため、サムがルーシーに愛情を注ぐシーンでは、ゆったりとした温かみが、女弁護士リタが登場するシーンでは、イライラした感じが、サムがルーシーの親権を半ば諦め、1人寂しくアパートで折り紙を折るシーンでは、堪えられない孤独感が...など、登場人物の感情は、画面全体から伝わってくる。

 キャストも素晴らしかった。サム役のショーン・ペンの演技は言うに及ばず、敏腕弁護士リタのミシェル・ファイファーは、冷徹で強い女から母親へと変化する過程を見事に演じていた。その他、脇を固める助演陣も素晴らしかったが、最も素晴らしかったのは、何と言ってもルーシー役のダコタ・ファニングだろう。優しさに満ちた可愛らしい表情が何とも言えなかった。まだ、若干8歳だそうだが、大物女優も脱帽の演技力である。今後の活躍が待ち遠しい。

 良い映画には良い音楽があるというが、この映画も充分それに当てはまる。随所に散りばめられたビートルズのカヴァーは、映像に温かみを与え、情感を一層深めていた。この映画では、ビートルズの曲が流れる度、何とも言えない安堵感が感じられた。あらためてビートルズの曲には、マジックがあることを再認識させてくれた映画だった。

 とにかく、愛情に満ちた素晴らしい映画だった。明日は、スターバックスでお茶をして、ビートルズのCDでも買いに行くことにしよう!

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)ゼロゼロUFO[*] niko G31[*] ユリノキマリ[*]

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