後半は、中学時代の２人の樹のエピソードに終始している感があります。で、樹（女）にとって、それまで知らなかったことが露見する。それはそれでいいとしても、渡辺博子の立場はどうなっちゃうんでしょう？

渡辺博子は「私が愛されたのは、単に昔好きだった人に似ているからなのか」という疑問をそもそも抱いていて、「中学生の子にやきもちやくの？」という問いに「そうですよ」と断言しています。見事なまでの純愛です。その純愛に対する答えを、この映画は何も用意していないんです。まさか、それが秋葉なの？まさか、ね。

コメンテータの皆さんが指摘されているように、これは『ふたりのベロニカ』をヒントにしたと岩井は言っています。元ネタを越えられないのは仕方ないにしても、瑞々しさがあふれているこの映画は素敵です。それだけに、忘れられている渡辺博子が気になって仕方ないんです。