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[コメント] 22年目の告白 私が殺人犯です(2017/日)

入江監督が興収的に評価されたのは良かったと思うが、練り込みが甘い分、残念な印象も強い。
Master

**ネタバレ注意**
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気にし出すと色々と気になる作品ではある。とは言え、演者それぞれの演技は安定しているし、話の転がし方も先が気になるような流れにしているために、鑑賞中はそれなりに楽しめる作品ではないかと思う。

とは言え、手口に一定の「ルール」を決めている殺人者を描くのなら、そのルールは絶対に守らないとやはり違和感が残る。

仙堂(仲村トオル)は、被害者が死ぬところを近親者など、被害者が親しくしている人間に見せつける事をルールとしていることが冒頭の朗読シーンで示される。しかしながら、牧村(伊藤英明)の妹である里香(石橋杏奈)は仙堂以外の誰にも目撃される事なく殺されてしまう。仙堂が自ら設定したルールを守らないのは「里香殺害については犯人が別にいる」のでなければ、辻褄が合わずご都合主義の批判は免れないだろう。

また、仙堂関連の描写は別でもおかしなところがあり、ごみを拾う事で几帳面さを表現しているようなのだが、入れ込み方が不自然すぎて戸惑いしか生まない。机の上の資料の広げ方、本に対する付箋の貼り方、取材メモの書き方、几帳面さをさりげなく表現する方法はいくらでもあるだろう。さらっと情報提示する方が良かったのではないかと思う。

あと、気になったのは藤原竜也をキャスティングしたこと。演技面では大仰さであったり、慇懃無礼な印象が良く出ていてよかったと思う。しかしながら、22年前に連続殺人事件を犯した犯人として出てくるにしては外見が若すぎないか。藤原は1982年生まれの35歳。整形をして顔を変えている設定のため年齢不詳として押し切ろうとしているが、どうしてもパッと見の説得力には欠けてしまう。ここが気になってしまうと全体の評価も厳しくなると思う。

サイタマノラッパー』の印象が強いため、入江監督への期待感は今も強い。それがハードルの高さになってきてしまっているのかなと思う所もある。そろそろ興収、内容ともにリンクした作品が出てくるのではないかと期待したい。

(2017.6.22 シネプラザサントムーン)

(評価:★3)

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