[コメント] 大列車作戦(1964/米)
もし「A級アクション映画」なるものが存在するとすれば、まさにこれがそう呼ぶにふさわしい。一見「高尚」とも思えるテーマが設けられているが、それがアクションの興奮を阻害することはなく、作中人物の決死的な行動=アクションはそのテーマに深さと多面性を与えている。
アングルとカメラワークは多様すぎるほど多様であるにもかかわらず、それによってショット構成が乱雑になることはない。それは(そのアングルとカメラワークの用いどころが的確であるということはもちろんだが)すべてのショットが画面の縦方向を活かした構図で統一されているからだろう。ここでその縦構図がもたらしているものとは、線路や列車の長さの強調効果。爆発や激突のダイナミズム。画面上の複数の「動き」が同時に提示されることによるアクション映画としての肉体性と知性の両立。そしてミシェル・シモンが画面奥で小さく射殺されるショットに代表されるエモーションだ。アクション映画をディープフォーカスで撮るのなら『大列車作戦』をお手本にしろ! と云いたいくらいだ(云い過ぎかしら?)。
ナイトシーンの撮影も見事。不必要なカット割りがないから「ワンカットであること」の興奮もある。ここでのフランケンハイマーの演出は、職人の手による最良の仕事と呼ぶにふさわしい。
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