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[コメント] ストリート・オブ・ファイヤー(1984/米)

今「カンフーごっこ」や「荒唐無稽ガンアクション」に逃げるのは正しい
Bunge

有名アクションゲーム「ファイナルファイト」の元ネタとのことで興味がわき、シネスケでも高評価だったので鑑賞。

常に何かが疾走し、BARで歌い踊る馬鹿者どもで埋め尽くされる徹底した世界観は見ていて気持ちが良い。スラム街には照明がわりのドラム缶の焚き火が明らかに不自然な数設置されているが、構図が良く立ち上る湯気や壁の落書きもあいまってちょっとしたアートにも見える。スラムの治安が改善された今のアメリカでは二度と撮ることのできない画だ。

たとえば一作目の「ターミネーター」における80年代要素は古びた要素でしかないが、ストリート・オブ・ファイヤーでは時代性を上手く描けている。するとなぜだか、時代遅れのファッションも格好悪く見えないのだから不思議なものだ。

まわりのバカ騒ぎを尻目に終始無骨な主人公は浮いた印象だが、物語が進むと周囲に流されない信念のようなものに思えてくる。

同じように無骨な男をヒーローとして扱っているジョン・ウェイン作品などは今見ると完全に「古い映画」でしかなく現代人にとって価値を感じ辛いものとなっている。しかし今作における主人公における無骨さというのは、まわりとの対比が効いており、自分を貫くことの良さを表現できている。

ヘラクレスのような大男が窮屈そうに身を縮めつつ踊るような打撃技を繰り広げ、撃っても撃っても弾切れしない拳銃を振り回す近頃のアクション映画の姿勢は情けないものの仕方が無い。アメリカの個性を活かしたアクション映画はとっくの昔に完成しているのだから。

2012/03/08

(評価:★5)

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