[コメント] 100,000年後の安全(2009/デンマーク=スウェーデン=フィンランド=伊)
原発推進の立場から最終処分場建設のイデーが示される。彼等が示す科学者の良心は、その背景にどす黒い強迫観念があるような気がしてくるのが絶妙だった。監督のマッチ擦る気障はやめた方が良かったと思う。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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すでに「核のごみ」はあるんだからどうにかしなくてはいけないが日本では間抜けなことにまだ決まっていない件。太陽へ打ち込むとしてもロケットが爆発するかも知れない、海底埋設は生態系に影響がないとはいい切れない。フィンランドが選んだのは8憶年の地層への埋設。そこで示されるのは10万年後にいまの文明は滅亡しているという前提。6万年後に氷河期とも語られる。どうやって次の文明に危険を知らせるかが延々議論される。どうやって忘れ去られることができるか、と話は哲学的になったりしてこの辺りが面白い。
人類は滅ぶものと幼少期から擦り込まれた日本人には、こういう人類以降への想像力は異様に見える処があるが、科学者として当然のことだろうとも思われる。私は田舎町の環境基本計画作成に携わったことがある。目標年度は2050年。「目標は達成できたか俺の墓に報告してくれ」と上司は語ったものだったが、私も生きていないかも知れない。映画は10万年だから箆棒だ。
科学者たちはプルトニウム再処理に反対している(兵器開発につながるから)。ウランは100年後には尽きるから原発はなくなるが、直前には奪い合いもあると悲観的に将来を語っている。私的ベストショットは台車に乗って片足スキップで廊下を漕いで進む太った白衣の女先生でキュート。BGMはクラフトワークのRadioactivityも使用されている。
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