役者たちのどうでもいいようなセリフと動きの「あるある家族喜劇」が可笑しかった。ただこれを笑ってやり過ごせる人は達観した幸せものなんでしょう。

素直にハッピーエンドのホームドラマと見て楽しめばいいんだろうけど、熟年離婚に直面した世の妻たちは、金銭的にやっていかれるのならすぐにでも別れたい、というのがほとんどでしょ。昔好きだったところが、年月とともに鬱陶しくなりイヤになる。残りの時間は自分だけのために好きなように生きたいんだもん。

「田園調布の広い家に緑の芝生と赤い屋根の友人の家に住まわせてもらえる」、「亡くなった小説家の弟の印税で生活できる」と妻に語らせることで、やはり夢見るおばさんのひと時の気の迷いとほのめかし、女はありがとうと言ってもらえればいくらでも我慢する、だからこそ家族なのだという固定観念を主張する。もちろんほのぼの山田作だからこれでよいのだろうけど、「両親がこんなことで別れるなんて情けない」と結婚前の次男に言わしめるシナリオ。ちょっと反発するなぁ。

実際笑っちゃったけど、「やっぱり家族が一番、みんな我慢してるんだよ」というメッセージがじわじわムカついてきた。シリーズ化したら、それぞれの家族の問題を取り上げても、結局は「家族だもんね、仲よくね」って収めるんだろうね、そういう映画もあってもいいけど、もう見ないと思う。