[コメント] 続 夕陽のガンマン 地獄の決斗(1966/伊)
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キャラクターの魅力という点から考えると、善い奴、悪い奴、醜い奴という区分けをあらかじめ字幕まで使って提示しているのがつまらない、枷をはめてキャラクターの持つ複雑性を奪ってはいないか。劇中の人物はどういう奴で善人悪人あるいはそれ以外なのかという認識は映画の流れの中で自然に立ち上がっていくもの、観客が自ら判断するものであり、作り手が無闇に押し付けるべきではないと思う。幸いイーライ・ウォラックは神父の兄との偶然の出会いという単なる醜い奴に留まらない魅力を感じさせるエピソードが用意されているし、クリント・イーストウッドは善い奴と呼ぶのもためらわれるひねくれた人物として描かれてはいる。しかしリー・ヴァン・クリーフはこの弊害をもろにかぶり、単なる悪役でしかないつまらないキャラクターになってしまっている。
この映画の白眉は序盤イーライ・ウォラックによるガンショップでの強盗シーンだろう。足を突っ込んで扉をこじ開ける、銃を分解して組み立てる、銃身を覗き込む、シリンダーの回転音に耳を澄ませる、私はガンマニアではないためこれらの動作に何の意味があるのかはよくわからないのだが、こういう動作や音を見聞きしているだけで面白い。このシーンを気に入ったのは私だけではないようで例えばジョニー・トーの『ザ・ミッション 非情の掟』にはそっくりなシーンがあるし、ジェームズ・キャメロンの『ターミネーター』のガンショップのくだりもここの影響を受けたのではないかしら。
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