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[コメント] 秘密(1999/日)

惨酷な話だな。妙にリアルでエグい。

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







原作未読。エグい話だと思う。

娘の体を奪ってしまったことに碌に悩みもしない様子のおふくろさん。新たな人生を歩もうなんて勝手にすればよいが、死んだ娘はどうなるんだ? 彼女の人知れずこの世から消えていった存在は誰が贖ってやるのだ? そこらを曖昧にして中年夫婦の純愛ものらしく仕立て上げられてる筋書きがキモチワルイ。(私はこういう無神経さにこそ真底腹が立つ。我が身可愛さで図太くいくならとことんまで図太くいけばよいのだが。)こんな筋書きで浮き立ってくるのは、如何にも中年的な、若さへの醜い郷愁だけじゃないのかと思えてくる。(トリッキーな部分とエモーショナルな部分を便利に使い分けるような仕掛けが好きじゃないというのもある。)そこらに(リアルと言えばリアルなのかもしれないが)受け手の違和感があまりないらしいのが不思議。(少なくとも、泣くほどの思い入れって出来るものか?)

広末涼子はべつに嫌いではないが、こういう役は彼女には適役だったかもしれない。若さの真っ当な発露というより、“若さをウリにして媚びてみせる狡猾さ”みたいなものがある(ような気がする)。それを含めて考えたら名演か?(『20世紀ノスタルジア』の彼女は、またべつの意味で適役。)

若い(じつの)娘の白い艶めかしい裸体をまえにして生唾呑み込んでる風な小林薫とか、そんなオヤジをこれまた白くなまめかしい肌のチラリズムで誘う若い女教師の石田ゆり子とか、滝田洋二郎の俗っぽいエロを捉える視線はさすがしっかりしていたとは思う。実際、妄想の中では男なんてこんなモノだ。(でなきゃ、フランス書院は何の為にあるのだ!エロ万歳!)監督はその視線を自覚的に遊んでいるものと思われる。

(評価:★3)

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