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[コメント] ダンサー・イン・ザ・ダーク(2000/英=独=米=オランダ=デンマーク)

セルマの愛と、考え得る最大の悲劇。それだけ。
ドド

監督が何を思っていたかは知らない。

セルマのとてつもなく大きな愛、そして「そりゃいくらなんでも…」と言いたいような悲劇に向って進んでいく展開。それだけ。でも誰もここまでストレートにはやらなかった。トリアーだけ。

確かに泣いた。悲しくて泣いた。感動の涙ではないし、これはいい涙だとは思わない。しかしあくまで勝手な解釈だが、監督自身も映画そのもので何かを表現しようとしたのではないと思う。「愛と、考え得る最大の悲劇」を観客に突きつけ、「あとは勝手にしなさい」という感じなのではないだろうか。僕はそう思った。

そして僕はこれを観た日以来、少し変わった。大げさかもしれないが、少しのことでは腹が立たなくなった。何事にも前向きになった。セルマのことを考えると、ちっぽけなことで悩んだりしている自分が情けなくなった。つらいときにはセルマを思い浮かべる。そしたら平気になる。あの状況でも息子へ愛を注ぎつづけたセルマを考えると、強くなれる気がする。となるとやっぱ流した涙は「悲しさ」よりも「感動」だったのかもしれない。

セルマの心の中にミュージカルがあったように、僕の心の中にはセルマがいる。トリアーは凄い。意識したかどうか知らないが、とにかく凄いことをやった。そしてそれを表現しきったビョークに賞賛と感謝。

(評価:★5)

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