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[コメント] 肉弾(1968/日)

兵士「おい、あいつのち○ぽこでっけえなぁ」ナレーション「たいしたことはない」。
荒馬大介

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 ……岡本監督、これ、狙ってる?

 で、そのち○ぽこ繋がりでいささか恐縮ではあるが(どこがいささかだ)、この映画、「うさぎ」と出会えて結ばれたことを「童貞の喜び」だと仮定してみると、また違った見方が出来て面白い。

 恐怖感さえ覚えるおばさんに筆おろしをされて、雨の中を逃げるように走っていく「あいつ」。でも観音様のような「うさぎ」と出会えた。そして結ばれた。明日死ぬかもしれない身のどうってことない童貞男が、こんな形で初体験出来たという、どうしようもない程の幸せと喜び。傍から見れば下品云々と言いたくなるかも知れないが、童貞達の理想の通りにならないこの現実からすれば、これは(現時点での人生の中で)最大の喜びなのだ、ということを忘れてはなるまい。童貞心理はかくも複雑なのだ。

 だからこそ「あいつ」は叫ぶ。「俺は死ねる!」と。立派な「男」として死ねる……はずだったが、「うさぎ」を守ることも出来ず、誰と戦うこと無く戦争は終わってしまう。「童貞」としては満たされたかもしれないが、「男」としては何一つ満たされていないだろう。だとしたら何というやり切れなさか。そんな通過儀礼のように思えた「童貞」→「男」への課程だが、今はそんなことを感じる人間も少ないだろうな……。

 自分がこの映画の「あいつ」にどことなく憧れを感じてしまう理由が、何となくだが分かった気もする。

(評価:★5)

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