★3 | 水戸黄門 血刃の巻(1935/日) | 大河内伝次郎が二役を演じた以上に山中貞雄にとって大事だったのは、本物の黄門が偽の黄門のふりをするという設定だったかもしれない。江戸と水戸の距離の感覚を画面に表わしえなかったのは残念。からくり屋敷がそれとは感じさせない普通の作りで中途半端。 | [投票] |
★5 | 人情紙風船(1937/日) | 一画面、一画面に生きることの孤独と悲惨が花火さながら炸裂している。意地をはり、義理を立て、筋を通すことのなんと切ないことか。意地を捨て、義理をかき、筋を曲げることのなんと情けないことか。進むも、退くも冥府への道。 | [投票(3)] |
★5 | 河内山宗俊(1936/日) | 『人情紙風船』が雨なら、本作には傑出した雪のシーンがある。幕末の退嬰的な空気が底流に湛えられていても、具現化されたのはアメリカ映画の理念そのもの。どこかバタ臭い。市之丞と宗俊がワイアット・アープとドク・ホリデイのように格好よい名コンビに見える。 | [投票(3)] |
★5 | 丹下左膳餘話 百萬両の壷(1935/日) | 被写体が動くことにより映画の価値が生まれるという生無垢の基本原理が全ショットであらわである。とにかく佐膳と子役と壷がよく動く。この動きを動きとして面白く見せるのに不動の被写体があえて取り込まれている。それが女達で、この静と動のずれが上等のユーモアを生む。 | [投票(5)] |