★4 | 父子草(1967/日) | 何がどうということもない大船的人情劇なのだろうが、宝塚映画のある種な場末感と渥美清の一種いかがわしい演技が丸山誠治の愚直なまでに手堅い演出を得て結晶体のような硬質な輝きさえ帯びている。 | [投票(1)] |
★3 | 激動の1750日(1990/日) | 「実録」的題材なのだが、あくまで筋を通そうとする中井貴一の立姿は「任侠」のそれであり安定感がある。組織もへったくれもない個のドラマツルギーに矮小化されゆく90年代実録路線の端境期に位置する70年代の残り香。キャストは総じて力演。 | [投票(1)] |
★3 | 智恵子抄(1967/日) | 片隅で育まれた世界が高名な詩人の手で世の脚光を浴びたとしても、幾千数多の脚光を浴びぬ物語もあるという今更感慨を岩下志麻の熱演が皮相にも呼び起こす。無名性こそが欲しかったところだ。中村と相性の良い成島東一郎の不在も決定的に手痛い。 | [投票] |
★4 | 愛の渇き(1967/日) | プチブルの斜陽を描き変態臭がむんむんするヴィスコンティ擬きな爛れ。奥様然として園丁誑かし焦らし逸らし挙句逃げる。何やねんこの女なルリ子の怪演。俯瞰カメラのアンバランスは箱庭の歪みを表象する。もう少し世界観が拡張してたらド傑作だった。 | [投票(1)] |