★5 | 大列車作戦(1964/米) | 価値の理解できないものの為に命を賭する抗戦の連帯と意気地を根底に湛えつつ、それでも個の対決に収斂していくドラマトゥルギーが完璧だが、縦構図とドキュメンタリズムを自在に操る演出とランカスターの身体性も尚等価で映画を成立させる。陶酔の調和。 | [投票(2)] |
★3 | 悪魔の美しさ(1949/仏=伊) | 所詮は魔法によって得られた若さってのがどっかで引っ掛かる。主人公が自力で獲得したわけでない幸福は間抜けな悪魔のおかげで永続する。それでもミシェル・シモンの愛らしい因業親爺演技の素晴らしさは満喫できるし、終盤の畳み掛けはさすがに闊達だ。 | [投票(1)] |
★2 | 素晴らしき放浪者(1932/仏) | 片っ端から世の不文律を破壊し勝手気儘に物事を成せばアナーキーだとでも言うのだろうか。どれだけルノワール的な川と光で全篇が彩られていようとも、この親爺の生き様には快感も共感も得られない。何故なら破壊されるべき何物も呈示されていないから。 | [投票] |
★4 | アタラント号(1934/仏) | 上流から下流へ田舎から都会へと小さな船で下って行くってのがミソで、流れる景観は開放と希望を表象する。船内密閉空間でも気の置けぬ爺さんとガキに囲まれ若夫婦を包む慎ましくも幸せな共同体幻影。幻影が失われた時代だからこそ、このユートピアは切ない。 | [投票] |