「〜真夜中のタンゴ〜 映画とピアソラ」(町田)の映画ファンのコメント
けにろんのコメント |
サンチャゴに雨が降る(1975/仏=ブルガリア) | 『アルジェの戦い』に自戒を篭めた仏映画人達の叩き潰された南米左派政権への共振。なのだろうが多分に時流追従めいている。叙情過多のスローモーションの垂れ流しはセンチ過ぎでポリティカルなことの本質から映画を遠ざける。ピアソラの音楽が勿体ない。 | [投票] | |
12モンキーズ(1995/米) | 時空を2元的に往来する物語が遂には円環を形成する点はさして目新しくもなく感興も覚えない。だが、冒頭からしてブルース・ウィリスの気合いの入り方が常軌を逸しており、その肉体性が如何にもなギリアム的プラスティック脳内映画に血流を送り込む。 | [投票(1)] | |
ラストタンゴ・イン・パリ(1972/伊=仏) | 欧州の停滞がもたらす退廃と異邦人としての孤絶がシンクロし男は落ちていく。内省的展開だがストラーロのクレーンワークと中距離レンズが相当にドラマチックで痺れる。ブランドの朽ち具合も良。終盤のタンゴ競技会のシーンは陶然とする素晴らしさだ。 | [投票(2)] | |
ローマに散る(1976/仏=伊) | 『Z』をクタールの映画だと言うのと等質に、これはサンティスの映画だと言ってもいい。それ位の撮影の濃度がある。元最高裁長官宅での軍警察の介入目撃は、蛙の穴を掘ってたらデカい蛇が出たとも言うべきエキサイティングな映画的興奮に充ちている。 | [投票(1)] | |
ブエノスアイレス(1997/香港) | 冒頭のハードなからみも「イグアスの滝」も「売り」の為の記号としての体裁はあっても本筋の世界とは殆ど関与せず空虚である。腐れ縁からの脱却が最果ての地よりの帰還と巧妙にリンクするのが作劇的には成功したと思われる。 | [投票(2)] |