★3 | カメラ・オペレータの甚大な労苦が偲ばれるギャスパー・ノエの『あにいもうと』。大変に無茶苦茶をやっているように見えて、それがほぼ理解の範疇にほどよく収まってしまうのはこれが実験的映画だからである。「実験」とは理性の振舞いのみが存在を許される場にほかならない。きわめて合理的なPOV実験映画。 [review] (3819695) | [投票(4)] |
★2 | 視界を同期する(される)こと=思考をジャックする(される)こと。映画を視る、または視せるという行為の意味に向けた、偏執的で暴力的な追求。軽率な恐怖演出の手垢に塗れてしまった「主観」の可能性を再開拓する「のぞき」の映画だが、視点制約と重力=生=くびきからの解放を共存させる映画表現は「設定の必然」の枠を超えず、更に全編にわたる上では自在なようでありながら息苦しい。
[review] (DSCH) | [投票(2)] |
★5 | 視覚への侵入。おそらく現時点で唯一の映画のサイバーパンクにして、確実に映画の水準を上げる作品。映像とはこういうストーリーテリングができるのか、と驚く。"first-person"に閉塞することで時空間に遍在する(偽りの)"third-person"。(2011.10.8) [review] (HW) | [投票(3)] |
★5 | 執拗に「愛」に言及し遡及される時間軸の彼方に現れる俯瞰的境地。完全に『アレックス』の焼き直しだが、東洋的「輪廻転生」観に依拠し精子君の頑張りまで描くノエは矢張りお茶目である。延々と揺らめくカメラが写し出す異界の都市。完膚無き圧倒的景観。 (けにろん) | [投票(1)] |