[コメント] 奇跡の海(1996/デンマーク=スウェーデン=仏=オランダ=ノルウェー=アイスランド)
夫のジャンは、一般的には悪い人とは呼ばれない。
でも、いまどきの女の子だったら、すでに新婚1日目であっても、すぐに荷物をまとめて実家へ帰るはずよね。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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この男性には、”性的暴力”を加えているという意識はない。ベスとファックしているときも、ベスにほかの男とさせたセックスの話をさせているときも。 恋人または、妻という存在に、子供のような自分を包み込む聖母のように清らかな、広く深い癒しを求め、それは自分をホットにする存在であって、己の性的欲求を満たすものでなくてはならない。 マザー・ファッカーとは、こういうことをさすのではないかと思い、ふと不安になる。
夫の回復をひたすら信じ、神様を頼りに行動したベスは、結局自分が無残に死んでいかなければならなかった。 それが奇跡を起こすほどの愛情を体現した聖画像として奉られることには、どうしても違和感を感じてしまう。 ジャンの回復と、ベスの死は、私の中ではぜんぜんつながらないし、信仰心厚い妻の犠牲のおかげで夫が助かったというような愛の奇跡をわざわざ描こうとしたのではないと思う。
むしろ、それが寓話として世間で利用されることの恐さを私は感じる。 ベスには、西洋式に都合よく利用される女性の性が表現されているように思う。 ベスのしたことを”純愛”と言って絶賛することは、女性の性を商品にする社会に手を貸している気がする。
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