[コメント] ジョゼと虎と魚たち(2003/日)
〔なつめさんのレビューを読んで〕表情といえば、→
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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この映画のすべては(と言い切るのもどうかと思うが)妻夫木聡の表情にあったと思う。特にセリフのないときの表情。
朝飯を作るジョゼを眺める表情、虎を見つめながらのジョゼの告白を聞いているときの表情、水族館の休館に腹を立てるジョゼの罵倒を背中に聞いているときの表情、海での表情…
出会いから別れまでの、ジョゼに対する、そして自分に対する、緩やかな気持ちの曲線を、セリフを超えて、表情で見事に表現しきっている(と思う)。
他人の褌で恐縮だが、ジョゼの表情描写の欠如と、恒夫の表情描写の豊富さは、恋人たちの間に横たわる、やわらかでやさしい空気と残酷な時の流れを描くにあたって、実に巧いコントラストになっている。そして、また、恒夫の表情の変化を、ジョゼはあまり見ていない。もしくは、見られない。そのせつなさ。
あまり関係ないが、この映画の空気に、小川洋子の『シュガータイム』という小説を思い出した。読後感が似ていたからだと思う。
「淡い陽射し」。苦味のないせつなさ、清清しいせつなさが、ポロリ。
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