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[コメント] 恐怖の報酬(1952/仏)

前半にこってり時間をかけた割には思った程には人物が描けず、後半になって人物を描きだしたと思うとそれらは唐突感が否めない。つまりは前半部が冗長で空疎だからだ。とは言っても荒廃とした雰囲気は好きですが。
sawa:38

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







と、シネスケでのあまりの高評価に驚き「ひねくれた」意見を出してみました。つまりはバランスに問題があるのではないのかと思うのです。

あまりにも前半部を丁寧に描いたにも関わらず、それらが後半部にどう関わってくるのか?勿論、後半部には全て繋がっているのだが、そこには前半の丁寧さは微塵もない。

捨てられる女。不遜な態度の米国人社長。悲観の末自殺する青年。これらの人物(素材)は後半にどう活かされたのか。

逆に主要人物はどうか?岩を爆破する活躍をみせるユダヤ系(?)の男は前半での描写がほとんど無く、惜しいキャラを逸してしまっている。またお人よしのルイージも準主役のキャラのはずなのに、前半での書き込みはバランスからみて充分とはいえない。

結局はシャルル・バネル扮するジョーの「変質」を描きたいが為にジョーの謎的な描写に比重が置かれ過ぎたのだ。

そして極めつけは主役のイブ・モンタンだが、結局彼は「単なるおっちょこちょい」という解釈でよろしいのだろうか?あれだけの描写を経ても、後半の行動をみるとそれぐらいの印象しか残らない役である。

つまりは「バランス」なんだと思う。

PS.だいいち、トラックの荷台に積んでいたニトロも相当揺れていたように感じた。前半でそれこそ慎重に慎重過ぎるほどに扱っていたニトロだが、後半ではかなり「バランス」を崩していたはずだ・・・

(評価:★3)

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