[コメント] フィラデルフィア(1993/米)
裁判の焦点は飽くまで不当労働行為。しかしどうしてもそれ以外の事を考えてしまう人間の心をこの映画は告訴する。4.5点。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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徐々に衰えてゆくベケットの姿に、トム=ハンクスの演技を越えた執念を感じた。反してワシントンの演技は心中を覗かせない処もあり、却ってそれが観客に考えさせることになっている。
図書館でミラーが、黒人である自分を見つめる白人の瞳を見た後にベケットの姿を見て、それがまた自分の視線でもあったと気付くシーン。仮装パーティーという自分を偽る仮面をつけた場所で、初めて同性愛者たちと触れ合うシーン。そんな意図に気付く自分が野暮と思いつつ感心した。
物語を網羅的に描く事は、物事を観客に訴える上で却って不都合になる事がある。しかし焦点の絞り方は難しく、直ぐに「この事に触れずに語った気になっている」という声高な非難を受けてしまう。差別を描く映画なら尚更だ。脚本や監督も大変だったろうと思うが、この映画について云えば、誤魔化しを極力排した、充分な説得力を持つと思う。
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