[コメント] 華氏911(2004/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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何が恐いって、アメリカという世界に大きな影響を与える大国のリーダーがあんなアホだってこと・・ アホと切り捨てて言うのは間違っているかもしれないけど、「アホ」として描かれてしまうことがもう問題だと思う。それから、そんなリーダーを支持するアメリカの人々。彼らはイラク戦争が間違ってないと本当に信じているようで、それも恐ろしい。ほんとうに恐いと感じる。 北朝鮮の人々が、自分たちが他の国から浮いていると気付いていないのと同じくらい、何か妄信的な感じがする。第二次世界大戦で、日本は負けているのに負けていないと思い込まされていたような、大日本帝国は不死身だということを本当に信じていた人々と同じ様な匂いがする。
劇中にでてきたアメリカ兵を息子に持つ母親は、最初「アメリカは素晴らしい国だ。誇りに思う。息子達を戦争に行かせたのも、良いことだと思っている。」という風にコメントしていたけれど、その後その彼女の息子が戦死したとき、「なぜ神様は私からあの子を奪うの?あの子は悪い人じゃないわ。いい人なのよ。」と嘆く。 私はそのシーンを観て、「たぶん、あなたの息子が攻撃したイラクの人々にも、悪い人はいなくて、あなたのように「神様なぜ?」と悲しんでる母親はいると思うけど、それについてどう思う?」と聞きたかった。彼女のように、進んで我が子を戦争に行かせた親たちは、その子供達が死んだとき、同じように殺されたイラクの人々やその家族のことを考えるだろうか。 私はその母親が「なぜ?」と問うたことに違和感がして、「戦争だから戦死する可能性があることを考えなかったのか。あなたの息子は人を殺しに行ってるんだよ。それは考えたことなかったのか。」という気持ちになった。 でもきっと、彼女を目の前にしたらそんな質問はできない。彼女は自分の考えが間違っているとも、息子のしていることが悪いことだとも思っていなかったのだから。(悪いこと、という表現も短絡的すぎるけど)
私の表現力と知識が乏しいので、あまりちゃんと書ききれないけれど、「信じる」って恐いなと思った。
そしてそんな国の言いなりになるしかない状態の日本という国も、そこに住んでいることも恐いと思う。そしてなにより、そんな国の文化に憧れ惹かれている自分にも「いいのか?」という気持ちがする。
-1は、演出と編集がまとまっていなかった点。M・ムーア監督のナレーションによる説明が長くて、前作よりエンターテイメント性が弱かったため。ムーア監督の作品は、「面白い」という所も重要だと思うので。(04/8/21 ワーナーマイカルシネマズ)
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