[コメント] 誰も知らない(2004/日)
映像、特に言葉を極端に省略もしくはなくし、表情、体の演技で今の飽食日本の東京の一現実をえぐり取ったこの映画に、魅入られたように見入ってしまった。何も言うまい。何も言えない。みんなあの大人たちのように傍観者なのだから。
そう、だから「誰も知らない」と同じことなのだ。
どんどん、髪もぼうぼうになり、風体も汚くなって匂うようになり、凄味を持ってくるところで、まだ「誰も知らない」状況に唖然とするが、それもまた現実。
憐憫感さえ拒絶する映像と演技、演出に呆然と息を呑み、ラストまで、2時間20分、固唾を飲んで、一心に見てしまった。あまり凄過ぎて涙はエンドクレジットの後じんわり流れ出た。 何の涙だったんだろう。席を立てない。
一番印象に残るのは、父親に金をもらいに行く時、さすが子供でもおねだりすりるような笑いを浮かべ、父親に頼み込むシーンだ。 なんと、哀しい壮絶な場面であることか。父親はたった1000円しか渡さないのだ。
中学生の女子生徒のイジメと同じく、「誰も知らない」とは、ある意味では社会からのイジメでもあるのだ。 だから、イジメを受けている子供たちは同じく一緒に手をつないで生き長らえるしかないのだ。
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