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[コメント] NIN×NIN忍者ハットリくん ザ・ムービー(2004/日)

ハットリくんがヒーローとしての活躍を全く見せていない。これは致命的な問題点ではなかろうか?この話が健一中心に描かれるのは、『鉄人28号』で正太郎しか描かれていないのとは全く意味合いが異なるのだ。
水那岐

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







問題点はまず健一に傾きすぎた焦点である。彼は「ドン臭い」少年であり友達もいないことから成長しなければならないので、それを描くドラマが要る。そして深窓の令嬢に淡い恋心を抱くドラマまで用意される(彼女が盲目であることはドラマの本質に寄与しているが、必要であったかは別問題である)。これだけで大分貴重な時間が消費される。その上で、ハットリくんには「主人以外に姿を見せてはならない」というドラマを縛る枷がつく。そしてライバルのケムマキは学校の先生になどなっているので、ハットリくんよりよほど子供たちに力量を見せつけやすい。これだけでもハットリくんの活躍できる舞台と時間はかなり制限された。

そして黒影との対決。失地回復のためにも、ハットリくんには何としても勝利をおさめてもらわねばならない。だが、ハットリくんは殺陣を一向に見せぬまま、ケムマキが加勢に現われ黒影との鍔迫り合い、そして健一の救出とおいしい役どころを奪ってゆく。その上ハットリくんの危機を救うのは健一の手裏剣なのだ。おい、ハットリくんはどうしたんだよ。さらに急にものわかりの良くなった黒影は闘いを棄て、荒れ寺とともに吹き飛んでしまうのだ。こんなのありかい!?

確かに香取慎吾に見事な殺陣を望むほうが馬鹿だし、実際のところ「愉快な仲間」に敵を斬り殺させてもまずかろう。でも、敵を殺さずともクライマックスに見せ場は作れた筈だ。

「忍術合戦ののち、もはやこれまで、という所まで敵を追いつめるハットリくん。しかしハットリくんは黒影を殺さない。彼にとっては健一を救うことが至上の目的だから…。そして黒影は警察に逮捕される」

…これでよかったのではないか。基本的にほのぼのでもヒーローを際立たせる方法はある。妙なカメラワークやCGに凝る前に、この映画に本当に必要なものを模索して欲しかった。それでこそ「ハットリくんの映画」じゃないか?

(評価:★2)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)トシ もがみがわ 死ぬまでシネマ[*] ミュージカラー★梨音令嬢[*]

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