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[コメント] ハウルの動く城(2004/日)

う〜ん、ちょっとあえて辛口にさせて頂きます。前半は100点、後半50点。そもそも「城」の形状自体が「美しくない」と思うのですけど、ハウルさん。
プロキオン14

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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「おもしろかった」か「おもしろくなかったか」といわれれば、「おもしろかった」というだろう。でも「満足」はできなかった。それほど過度の期待をしていたわけでもないのに。不満がある点が大きく分けて三つ。ひとつは「キャラクター」、二つ目は「キーワード」、最後は「類似」。

まずストーリーには原作があるわけだから、そこから大きく逸脱するわけにはいかないので、制約があるから、あまりここで不満はいうまい。ちょっと、いやかなり最後のほうは判りにくいまま、放り出されてしまった印象。全部事細かに説明することはできなくても、もう少し言葉で補って欲しい(特にカルシファーの契約のところ)。サリバン(サリマン?)先生の意図も、荒地の魔女の目的も判らずじまいだし。

それよりも引っかかったのは「美しい」と「この馬鹿げた戦争」というキーワードの連呼。まずこの映画での「美しい」とは何か?それほど重要なことなのか?。少なくとも城自体は、すごく重量感があって、魅力的だと思うのだが、「美しい」か?いや、そう思えない。城の中はどうか?「きれいじゃない」を通り越して「汚い」物であった。ハウル自身も「髪」以外に美しさに何かこだわっていたか?それでも「美しい」というキーワードが引っかかるのは、ひたすらソフィーのコンプレックスを煽っているだけな気がした。だから、あの髪の毛の色のシーンも、「あぁぁ、僕の自慢の髪の毛が台無しだぁぁぁ!」ぐらいにしておけば、嫌味がなくていいのに。

もう一つのキーワード「この馬鹿げた戦争」について、この言葉ばかり後半は連呼している。映画の前半が、ワクワクしそうな魔法と動く城の魅力で満ち溢れていたのに、後半になると急にテンションが落ちる。この映画の中の「戦争」に何の意味があるのか?何故戦争がおきたのか?何故やめたのか?、魔法使いがそれにどういう意味を成していたのか?ハウルは「誰」と戦っていたのか?サリマン先生の側の国?、じゃぁもう一つの国?はその間何してたの?それとも戦争を「やめさせる」ために、両方の国と戦ってたの?。「馬鹿げた」が特に強調されているのが露骨すぎて、イヤになりそう。一歩引いてみれば、ハウルも「戦争の当事者」にもなっている気がする。

今回の「キャラクター」の姿にも不満。特にソフィーが「90歳のおばぁちゃん」だったはずなのに、「50歳ぐらいのおばさん」になったり「少女」に戻ったりの流れが不自然で、何の説明もなかったから、いったいヒロインに何が起きているのかが判りにくい。次にソフィーの妹と母が同一人物に見えた。ソフィーが妹に会いに行ったあと、お店に訪れたのも「妹」だとおもった。あと、宮殿に行ったとき、「千と千尋」のハクみたいな「金髪の男の子」が出てきたときに、あれ?犬(=ハウル?)が男の子に変身した?と思った。

三つ目は「類似」。見ていて、「あれ?こんなシーン、前にも見たかも?」ってところが多かった。冒頭の「空中散歩」は「猫の恩返し」っぽかったし、荒地の魔女の追っ手のニョロニョロしたのも、「もののけ姫」の「タタリ神」みたいだし、「ドロドロハウル」は「デイタラボッチ」が死んで吹き出たドロドロみたいにみえたし。それに途中からハウルが「千と千尋」のハクとダブった。傷つきながらソフィーを乗せて飛ぶところなんて、そのものだったし。

と、思いつくままに書きなぐったけど、前半のテンションで後半も乗り切ってくれたら、★5つけてもいいと思ったぐらい。(声優陣、特にキムタクはよかったです)。かなり辛目の★3です。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (8 人)わっこ[*] 浅草12階の幽霊[*] Osuone.B.Gloss[*] リア[*] ゆの[*] 4分33秒[*] 水那岐[*] アルシュ[*]

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