[コメント] Ray レイ(2004/米)
確かにジェイミー・フォックスは評判どおりの熱演だし、演奏シーンにはノッていけたし、数々のエピソードも興味深く飽きずに観られたんだけど、結局のところレイ・チャールズという人がどんな人間だったのか、この映画を最後まで観ても理解できた気がしない。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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映画は、弟の事故死と視力の喪失という少年時代に起こった2つの悲劇的出来事を心の傷としたレイが、栄光と転落を経験しながら溺れて行ったドラッグ依存を克服するところで終わる。70年にわたる彼の生涯の中の前半分、まさに「半生」のみが描かれる。そこに焦点を絞りストーリーの骨格とすること自体はよいと思う。だけど、2時間半をかけて重ねられるたくさんのエピソードが、その骨格にどのように関わってくるのかが明確に伝わってこない。
例えば、弟の事故を連想させる幻覚に襲われるシーンが何回か出てくるが、あの幻覚が襲ってくるタイミングが意味あるものでなく行き当たりばったりな印象だし、浮気やクスリに溺れていく過程も単に享楽を求めているだけにしか思えなくて、盲目からくる孤独感との連関が理解できるようでイマイチ伝わらない。さらに、人種隔離のライブを拒否してジョージア州から追放されるくだりは唐突な感じが否めず、ラストでクローズアップされた名誉回復のエピソードもこの映画の文脈の中でスポットを当てるのはちょっと違う気がした。
描きたいテーマに沿ってエピソードが配置されているわけでなく、刹那的に並べられたエピソードに後から無理矢理テーマをくっつけたような、どうもテキトーな印象を受けるのだ。
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