[コメント] イン・ザ・プール(2004/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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笑いが「緩急」で成り立つものとするなら、オダギリジョー、田辺誠一、市川実和子のパートが今作における「緩」であり、当然そこに松尾スズキが絡むパートが「急」となります。今作はこの部分でのメリハリが非常によく効いている。後半くらいになると、もう松尾スズキが出てきただけでついこっちも笑う準備をしてしまっているんです。それくらい「急」が「急」たり得ている作品でした。
特にクライマックス、冷蔵庫が沢山見つかってから死体が出てくるまでの畳み掛けは秀逸です。もちろんそのテンポを生み出す編集も見事なものであり、その中で松尾スズキの小劇場的な笑いが非常によく映えていました。この人ってどこでも割と一本調子な演技をしますけど、こんなにいい雰囲気持った人だったんですねぇ。
ただそれ故に逆に不満なのが、その「松尾パート」の少なさです。3人の日常のパートが緩急の「緩」である以上、そこに笑いが少ないことは仕方ないのですが、それでもやっぱりもうちょっと濃く作っても良かったんじゃないかなと。具体的に言うと田辺誠一のパートが問題で、彼は診療を受けていないから、プールの背景ぐらいにしか松尾スズキが出てこないんです。だけどそうなるともう田辺パートには笑いがない。プールに行きたくてイラつく田辺誠一しかない。そのため田辺誠一が出てくると、観ているこっちは軽くテンションが下がるんです。プールで相談を受けるなり治療を薦めるなり、何らかの形でもっと田辺誠一と松尾スズキの絡みを作ってくれていれば、映画全体のテンションも上がり、緩急の割合もかなりバランス良くなったように思います。
また患者3人のうちキチンと治ったのはオダギリジョーだけで、お話自体はどこかにちゃんと着地したわけでもないっていうのも、物語としては若干微妙さを感じる部分ではあります。まぁそれでも尚「面白かった」と思ってるんですから、要は「松尾スズキが面白かったから良かった」ってことなんでしょうかね。気持ちいいくらい笑ったからいいんですけどね。
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