[コメント] スター・ウォーズ エピソード3 シスの復讐(2005/米)
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この作品を観てしまったら、何が何でも続きとなるEP4を観ないではおかない!と言う気分にさせられるのだ。実際の話でつなぎ方が本当に上手かったし、たとえ既に何度も観ていたとしても、やっぱりこんな終わり方されたんじゃ、絶対観たくなる…今書いてる本人が横で流してるくらいだから(笑)。
この作品は『EP2』と『EP4』をつなぐ作品と言うことで、観客はこの終わり方をあらかじめ知っている分、どうしてもストーリーのクライマックスに意外性を持たせられないという不利点はあり、更にこの作品では人間ドラマを描かねばならないのに、観客が求めているのが人間ドラマではないという根本的な問題があるものの(笑)、物語の方もかなりよくがんばっていたと思う。決して演技的に上手いとは言えないポートマン&クリステンセンの絡みも、シスやジェダイの思惑に飲み込まれてしまったお陰であんまり気にならない(個人的に言わせてもらえば、クリステンセンは本作で最高の演技を見せたと思うが、他の作品で使いにくいぞ)。むしろカバーに回った芸達者なマクレガーがその辺を上手くフォローしていた感じ。マクレガーも『EP2』での骨張った演技でなく、随分丸くなった演技が出来るようになっていたし。
物語の結末が分かっていても、物語だけでもとりあえずは飽きさせはしない。
しかしそれより本作の素晴らしさは何より演出面にあったのは確か。ファンなら喜びそうな小技が山ほど出てくるのが嬉しい。CGの使い方は良くこなれていて『EP1』あたりで感じていた不自然さはほとんど感じられなくなっていたし、最後の火山惑星での戦いなんてのは、あれだけ赤いエフェクトかけていながら、モノトーンの服装のキャラを全く不自然さなく際だたせていた。ほぼ職人芸。一番感心できたのは、光沢のあるアイテムをさりげなく光らせていたこと。C3−POとかアナキンの右腕とか、暗いところでもさりげなく光を反射させている(これはものすごいCG班の苦労の割に、分かられると困るという矛盾したエフェクトだ)。ライトセイバーの煌めきも今まで以上に良く演出されていた。オビ・ワンとアナキンの最終決戦で青いライトセイバー同士がぶつかり合うシーンなんかは、シリーズに思い入れがあると、感無量って感じ(基本的にこれまでジェダイのライトセイバーは青系で、シスのライトセイバーは赤系で演出されていたから)。
明らかにオリジナルを踏襲したジョン=ウィリアムズの抑えの効いた音楽は見事なはまり具合。特にシディアスがアナキンを「ダース…ベイダーと呼ぶことにしよう」といった瞬間流れるダース・ベイダーのテーマ曲(ここでは勿論スコアは新しく起こされ、「Anakin vs. Obi-Wan」になってるが)は狙いが見事すぎ。これだけで鳥肌が立った。メカも『EP4』を彷彿とさせるものばかりが出てくるし(ジェダイが乗るスターファイターは後にベイダーが乗ることになるタイ・インターセプターのプロトタイプっぽいし、後にX−WINGとなるスターファイターも出てくる)、特にシリーズのファンには懐かしく、そして嬉しい小技が溢れていた。そうそう。アナキンがダース・ベイダーマスク姿になった瞬間、声が懐かしのジェームズ=アール=ジョーンズになったのは嬉しいファンサービスだ…今まで流暢な米語喋っていたのが突然英語訛りになるのが個人的には大受け(笑)
…良いことばかりではなく、悪いところも散見できるが(ストーリー部分の弱さは仕方ないのだが)、やっぱりあの字幕はなあ…でもダース・ベイダーの声を聴くためには吹き替えでは駄目だし…もうちょっと英語力をつけて字幕無しで観られるようになりたい!と切実に思う。
この作品は『EP4』〜『EP6』無しには成り立たないが、逆に本作を観ることで、旧作の観方も変わってくるはず。特に何を考えているのか今ひとつわかりにくかったダース・ベイダーの内面がこの作品で分かってくるのが本作の一番の成果だろう。
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