[コメント] メゾン・ド・ヒミコ(2005/日)
見よ韓流、ハリウッド。これが日本映画だ。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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2005年秋、小泉一派は選挙で大勝。韓流ドラマやお笑いブームは継続中。「ユーセーミンエイカ」と馬鹿の一つ覚えで繰り返し、ドラマは初めからラストシーンがわかり、オチはみーんなテロップでご紹介。時代を支配しているのはすべて「わかりやすさ」と「お決まりのセリフ」である。婉曲や暗喩は届かなくなってきているのではないだろうか。
僕がこの作品で一番好きなシーンは、柴咲コウが、一度メゾン・ド・ヒミコを去るところである。オダギリジョーが「うらやましい・・・」とつぶやいた言葉に柴咲コウが涙するシーン。この場面で、柴咲コウも、また観客である僕も物語がこれまで紡いできた「なぜ」の答えを知る。なぜ母が、なぜ私が、なぜ私たちが。こうした疑念が一気に氷解する。偶然ではなく必然であり、また時は繰り返そうとしている。この物語は悲劇でもあるし、喜劇でもあるのだ。
僕はこの作品を作ったスタッフと、演じきった役者に拍手を送りたいと思う。余分な説明も言い訳もない深みのある作品だと思う。そぎ落とし、断ち落としてこそエッジが出る。ノーメイクで挑んだという柴咲もノーメイクだからこその魅力にあふれていた。 また逆に、徹底的にフェイクを演じ続けることで本質に迫る場合もある。年老いたオカマの迫力には誰もかなわないのだ。
こうした作品が日本で作り続けられていることに感謝したいと思う。
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