[コメント] 生きる(1952/日)
「ゴンドラの歌」の使い方が素晴らしい。タイアップではなく、というのもまた新鮮である。
佐藤千夜子(この曲を吹き込んだ有名な歌手の一人。いかにも声楽を学びましたー、といった歌い方のバージョン)のCDに付された解説によると、吉井勇が作詞し中山晋平が作曲したこの曲は、もともとはチェーホフの芝居「その前夜」の劇中歌として(帝劇で)松井須磨子に歌われ、約30年後、この「生きる」の公開と同時に再ヒットしたそうだ。
考えようによっては最近のメディアミックスの走りみたいだけれど、意図せず、というところが凄い。
それだけ、この映画を通して聞こえてくる「ゴンドラの歌」は当時の人々の胸に響き、また、「今でも十分に人々の胸を打つだけの力」をもっているのだと思う。
そしてその「歌の力」に最も大きく貢献しているのは、やはり志村喬の「わかりやすい演技」。そして「ブランコで」という絶妙の演出なのではないか、と私はにらんでいる。
いずれにせよ、そういった「歌」と出会えただけでも、この映画はすでに大成功していたのではないかと考える。
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