[コメント] ハリー・ポッターと炎のゴブレット(2005/英=米)
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大好評のシリーズも本作で4作目。原作の方は巻が進むに連れ、どんどん厚みが増していく。それによって映画の作り方も変わってきたようだ。1作目の『ハリー・ポッターと賢者の石』(2001)なんかは季節感の出し方とか、原作のイベントとかほとんど全てを入れてしまうことが出来たのだが(それだって凄いことだけど)、前作の『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』(2004)では流石に同じ作りが出来ず、重要イベントを重視した作り方へとシフトしていった。
本作の原作はシリーズの中では最も長い話のため、最初から全部の物語を入れることは無理で、その分三大魔法学校対抗戦に重点を置くことになった。映画としての作りはそれで正しいと思う(それでもいくら主題を絞っても、原作未読の人にとっては相当に振り回されるだろう)。あれだけ精神的に重い内容だったのをちゃんとエンターテインメントに仕上げることに成功しているし、一つ一つの対抗戦の演出も充分。
ただ、そのために、原作の主題とも言えた精神的な重さは完全に脇に押しやられているのは事実。特にハリーとロンとの仲違いはもっと重いものだったし、ハリーと仲直りしたあと、今度はハーマイオニーとの仲がおかしくなってしまうロンの心の描写は全然足りず。更にヴォルデモートとの対決が割合あっさり目に終わってしまう…これらは読んでいてもきつい内容だから、それを無くしてしまったのは正解だったし、特に視聴者の中に子供が多いことを考えるのならば、この作り方が一番正しかったと思われるが、ある意味でこの改変は主題そのものを変えてしまったとも言える。
だから本作は原作をトレースするのではなく、原作は原作の良さを、映画は映画の良さを押し出すと割り切った作品だと言っても良いだろう。少なくとも3時間近くの長丁場をほとんど飽きさせることなく観させることができたと言うだけでも充分な出来だ。こうやってピンポイントに絞った作り方した方が映画っぽくて良し。原作にはさほど思い入れがない分、映画単体として楽しませていただいた。
内容的にちょっとだけ言わせてもらえれば、最初のクィデッチ世界大会をクラムの紹介だけに終わらせず、クラムがどれだけ凄いか、プレーしてる姿を見せて欲しかったのと、やっぱり最後の余韻をもう少し減らしてでも、ヴォルデモートとの対決は大いに盛り上げて欲しかった所ではある。二番目の試練で「大切なもの」を見つけた時の驚きも足りなかったかな?個人的にはハリーのお風呂のシーンは楽しめた。
シリーズを通して考えるならば、シリーズが進むに連れ、どんどん豪華になっていく俳優陣も楽しめる。今回マッド・アイを演じたグリーソンは私が大好きな役者だったし、ほとんど一瞬だけ、しかも素顔を見せることなく終わったシリウス役のオールドマンなど、贅沢な使い方をしてる。ヴォルデモートがレイフ=ファインズとは。無茶苦茶はまってた。そうそう。主演のラドクリフやワトソンなんかは一作目から較べ、本当に成長してるから、なんか本当にリアルタイムに成長してるのを見てる気分にさせてくれるのも良い。
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