[コメント] 影武者(1980/日)
不動如山。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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動かざること山の如し。私はこれを、主役を演じた仲代達矢にも貫いてほしかった。
なるほど、彼の静の演技は見事である。冒頭の信玄の貫録、そしてそんな主君の器の大きさに感じ入り深々と低頭する影武者。その所作の美しさは、やはり彼にしか出せないものであろうと思うし、シナリオ外の決断を迫られ、にも関わらず「動くな!」と言い放つシーン、あるいは影武者が発覚し、城を追い出される際に、あろうことか石つぶてまでをも食らうシーンなどは、分かっていてもこちらが感じ入ってしまうほどに素晴らしいものとなっていた。
がしかし、よいのはここまでで、この「山」が動き出すと、大芝居が過ぎて途端につまらなくなるし、演出にしても最後スローモーションで捉えたしつこい馬のもがきに代表されるような緊張感の無さが目立つ。だから肝心の影武者が発覚する傷が見つかるシーンにも何の驚きもない。また、あれだけ沢山の銃弾が放たれながらも、映画的にはその全てが前述の石つぶてにすら敵わぬ兵器と成り下がっているところも見ていられない。ショーケンも何を言っているのかすら分からない有様だし。
思いのほか隆大介の信長が良かっただけに、勝が降りた段階で大胆な脚色を施してもよかったのではないかと思うほどに、「乗りかかった船」的な半端さが目立つ、これはやはり残念な作品であった。
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