[コメント] ホテル・ルワンダ(2004/伊=英=南アフリカ)
と、当時、撤退理由を聞かれたアメリカの政府高官が答えていた。このときのこの映像を見て、私はアメリカと言う国は本当に凄い国だと思った。撤退したイギリスもフランスも立場は同じなんだけど、これを言い切れるのはアメリカしかないだろう。白状しますが、当時、ルワンダの状況よりもアメリカのスタンスのほうに関心が向いていたのです。ちなみに私は今では概ねアンチアメリカ派ですが、当時は親米派でした。
お互いがただ殺しあっていたり、一方的に虐殺をしている国で、しかも全く自国にメリットのない国に自国の兵士を派遣すると言うのは、損得で考えると損に決まっている。この結果、非難の対象となっている国アメリカは、(これも映画になったけれど)それ以前に自ら誇っていた全世界的治安維持力を行使しようとしたソマリアでかなり痛い目に合った挙句、その教訓以外に何の誉れも成果も得られなかった苦い経験があり、決して危険回避ありきの国ではないのです。
日本を考えればもっとわかりやすいだろう。こういった作品を観た日本人は、少なからず撤退した国々に批判的な感想を抱くだろうが、同時にその多くが自衛隊の紛争地域への派遣に反対している国なのです。 紛争地域に自衛隊を派遣することができないのは、自衛隊論、憲法論争以前に、それをしたくない本音もあるわけで、ルワンダを撤退したアメリカを非難できる立場にないのです(注意:日本の自衛隊も紛争地域には当たらないルワンダ難民キャンプのPKOには参加してました)。
アフリカだからこうなったか? ベルギーの植民地支配が種をまいたルワンダの部族対立と、イラク戦争が種をまいた現在のイラクのテロ情勢は、その只中に立たされた市民から見ると危険度は違えど似た状況と言え、それでも自衛隊がイラクに派遣され、イラク戦争に反対したドイツやフランスまでがイラクの復興援助に協力したのは、イラクに重要な意味があるからで、悲しい現実ですが、やはりアフリカには平和維持のために紛争地域に兵士を派遣するリスクは負えない(価値がない)、と言うことになるだろう。 ちなみに日本もここ10年アフリカのPKOには自衛隊を派遣していないのです。
おそらく、今でもアフリカで紛争が起きると(起きているのかもしれないが)似たような事態になると思う。出来ることは紛争が起きてないうちにそれが起きないように現地の教育レベルと、本当の意味での治安レベルを向上させ、本作の主人公のような人材を増やす地道な努力しかないのではないでしょうか? そこまで本作では訴えていなかったように思いますが、私はコメントを書いていて月並みながらそんな感想に至りました。
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