[コメント] ナルニア国物語 第1章:ライオンと魔女(2005/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
指輪物語(『ロード・オブ・ザ・リング』)が古代神話的に矛盾と冗長性の固まりで、しかしその分豊穣な世界観がしっかり構築されていたために「原作に忠実な映像化」が可能だったのに対して、本作の原作はキリスト教をベースにした中編童話であり、単にストーリーをなぞるだけでは本質が伝わらないのではないかと思います。 アスランの偉大さやエドモンドの裏切りと改心、兄弟の成長等々、心理描写に頭と時間を使わないといけなかったはずなのに、戦闘シーンで息切れしたのか。
それに、戦闘に勝利した後のナルニアの様子(兄弟による統治)の話は原作では1ページにしかなってないけれども、「お話」としては重要な部分で、だからこそ、こちらに戻ることの意味、そして、ナルニアにはいつでも行けるわけではない、という意味が「ずしん」と来るんだろうに。街灯の重要性もね(ま、ここは個人的な思い入れで、あの、ぽつんとたたずむ街灯って、すごく印象に残ってるので、映画での扱いの安っぽさにがっかりしてるんですよ)。
あと、予告編の時から不安だった「動物がしゃべったとたんに『ベイブ』化するんじゃないか」という予想も、やや的中。リアム・ニーソンでも、やっぱアスランがただのライオンになってしまってます。
それ以前に、映画的醍醐味に欠ける構図やカット割りにも難ありだなあ。
本来なら2点としたいところですが、戦うティルダ・スウィントンの美しさに免じて3点ってことで。
<追記>未見(原作ファン)の妻に愚痴ったところ「そりゃあ行間が描けてないってことよ」と見事にまとめてくれましたよ。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (5 人) | [*] [*] [*] [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。