『の・ようなもの』が好きな僕としては、古い友人に再会したような気分。

ふつうな人のふつうな生活が、こんなに変で、こんなにチャーミングなのは、他ならぬ森田芳光の映画だからだ。特に、兄弟が自転車で…東京中を…のシーンは、志ん魚伊藤克信が歩いて帰るシーンのセルフパロディに見えるし、沢尻エリカ・北川景子の溌剌としてとても丁寧な演技は麻生えりかや『(ハル)』の戸田菜穂を思い出させる。否応にも。その戸田菜穂が『(ハル)』ら10年たってすっかり貫禄の芝居を見せてくれるのも嬉しい。常盤貴子 ・高嶋政宏・岩崎ひろみ あたりの芸達者ぶりも楽しい。

それにしても主役ふたり佐々木蔵之介・塚地武雅と中島みゆきのはまり役にはびっくり。

映画が終わったあと、観客の女性からくすくす笑いが聞こえたのが印象的だった。