俺がこれ見て感じたのは何にも考えんでも楽しい映画だった、って事に尽きる。あの兄弟達がボーと相撲を見ていた様に俺もこの映画をボーと見ていた。映画というのは文学系の視点で批評されることが多いのだがこの作品は相撲系だ。

小津監督は家にTVがやってきた、という当時の家庭ならどこでもあった波乱万丈な導入物語のひとつを描いて見せた。俺んちも東京オリンピック見たさに父親が母親の大反対を振り切ってゲリラ買いしたのだろうというのは容易に想像できる。こういう家庭の小さい事件って映画になりにくい。映画の事件って殺人とか大災害がノーマルな話でTV導入で事件が起きるなんてテレビドラマ（ホームコメディ）レベルだもんね。

たった一台のTVを買ったことで好きな人と世間話を出来るようになり近所の評判もよくなり再就職の手伝いも出来た。ボーと見た俺としては全てが丸く収まって素直に楽しい映画だった。フラフープを回したい気持ちってんですか、こういうの。