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[コメント] 秋刀魚の味(1962/日)

以外とエロティックな映画だったりして。
ちわわ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







この作品。見終えてあと、なんだか暗くなった。 これが正直な感想。

人の人生なんて、 生まれて、子供をつくって、別れて、死んで・・・言ってみればそれだけか? 過去の栄光はあくまで過去のもの。佐久間の娘(杉村春子)の 泣く姿なんて身につまされた。

あれは父の身を泣いているのか、それともわが身を泣いているのか。

娘の幸せのためには、娘との別れは必要。どっちみちつらいが、別れたほうが ずっとまし・・・。うーむ、暗い。

ところが、意外な仕掛けもある。マダム(岸田今日子)の存在と、 堀江の娘のように若い後妻タマ子(環三千世)の存在だ。 前者は、周平(笠智衆)に死に別れた妻と過去の栄光を思い出させ、 後者は、初老の男たちに、もう一度(現在の)性のエネルギーへと誘惑する。 いずれにせよ男性の妄想(性自体妄想の産物という側面もあるが)。 対極的な何かをシンボラズしていて、興味深い。

それに対して、現実の生(性)をあらわしているのが、長男夫婦と言えるだろうか? まあ、こちらも喧嘩はするし、結婚当初の情熱も薄れているんだけど、 でもなんだかんだいって幸せそう。

と考えると、これは人間社会の性のあり方を広く見せてくれた作品なのかも。 中年男の悲哀なんてところから、いったん離れて、作品全体を見直してみると 最初に述べた「暗さ」から離れて、作品のユーモアが見えてくるのかも。

(評価:★4)

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