[コメント] カポーティ(2006/米=カナダ)
生白い肌と未熟な発声でネオテニー(幼形成熟)を連想させるシーモア・ホフマンの細かすぎて伝わらない成りきりぶりに、カポーティを知らない私もつい「本物そっくり」と言ってしまいそうに。そんな説得力のある演技力を楽しむべし。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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対象に興奮しながら四六時中指をしゃぶっているような印象がぬぐえないシーモア・ホフマンのカポーティ像。そんなシーンはどこにもなかったはずなのだが。対象との距離を上手に測りながらズケズケ取材し、自作の映画化に対しても客観的に価値を測れる相棒ネルの「冷静」と、幼児性と狡猾な知性を有するカポーティの結果としての「冷血」。そんなキャラクターの在り方に惹かれるものはあったが、なにせカポーティ本人も著作も知らない私が見たところで、やはりせっかくの面白さというものは伝わってこない。これは私がいけない。それでも役の一貫性があるので、さもありなんというふうに納得させられてしまうし、書くという行為の個人的なこと、そしてそれが対象にとって一方的な行為で、それが何がしかの真理を追究しても、結局書き手本人の個人というものを暴いてしまうというようなテーマにも共感はできる。が、ブログ隆盛の現代にあっては、そこでの発言をめぐって炎上中、なんていうのをしょっちゅう目にするし、なんだかありきたりのテーマのように思えてしまった。雰囲気はあるけど、なぜ今この作品?という意図がなんだかよくわからなかった。
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