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[コメント] 虹の女神(2006/日)

耽美なり。
夢ギドラ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







佐々木蔵之助が「それは、オマエのフィルターでみたリアルだろ!」と上野樹里に言う箇所があります。主人公を的確にあらわす言葉で、これはそのまま、この映画にも言えることだと思いました。

可愛くて闊達、妹を思いやる優しい女の子が、実はずっと自分のことを好きで、自分の軽率な行動で「失恋したんだ」とか言って、それ以上は告げずに、死ぬ。

という筋書きは、頭の中で妄想し得る、男の子が好む理想の女性像だと思うし、理想的な死に方にみえます。本作は、こうあれば、美しくて悲しいだろう、僕たちはメソメソできるだろう、がしっかりと出てきます。日常風景を撮影しているけれども、本質的には、耽美な世界なのだと感じました。

それを踏まえた上で、本作はとても魅力的で美しい。秘めた恋心は、主人公製作の映画にひっそりと込められています。相手の男の子は最後まで恋心に気づかない。「地球最後の日」の意味は、死んだ後に気づかれるのだから、ほんとうに美しい。

男の子にとっての理想世界といったけれども、女の子にとっても、優柔不断で根性なしの男子は、可愛くて、ずっと好きでいたいのかもしれません。耽美なり。です。

それと、虹に関しての野暮なチャチャをいれると、市原隼人と上野樹里が二人で見上げた虹が、彼らのうしろの水溜りに写るのですが、これ、虹の向きが逆かと思います。方角的に、紫色が奥で赤色が手前じゃないかな。タイトルに「虹」と付くため、気になりました。間違ってたら、すみません。

(評価:★5)

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