[コメント] 素晴らしき哉、人生!(1946/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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クリスマスの夜、窮地に陥り自殺を考えるジョージ・ベイリー。そんな彼を救ってくれと祈る妻や子どもたちの願いを叶えるため、翼さえ持っていない二級天使、クラレンスが地上に派遣されようとしている。物語は、「まずはその前にジョージのこれまでを知りなさい」と上級天使(神?)に言われたクラレンスが、彼の半生を回顧する形ではじまる。
「広い世界を見てみたい」と幼い頃から繰り返しつつ、人のため、町のためと自分を犠牲にしては善行を繰り返すジョージ。その行いのため、人々の信頼や愛を得るジョージ。けれども父の跡を継いだ善意の住宅金融会社のため、人生最大の窮地に陥るジョージ。
そして、川辺で自殺を思うジョージの前にいよいよクラレンスが登場し、彼は、自分など生まれてこなければよかったのだと嘆くジョージに「もしもこの世にジョージがいなかったら」という世界を擬似体験させる。
氷の池で死んだことになっている弟、ひとりぼっちで暮らす不幸な母、殺人犯とののしられ悲惨な晩年を過ごす薬局の主人、ポッター色の強い殺伐とした品のない町、愛のない寂しい人生を送るメアリー。
その様子に衝撃を受けて嘆き悲しみ、同時に自分の存在意義を知り希望を取り戻すジョージ。
この映画が多くの人から支持されているのには、ジョージが完璧な人間ではないという点も重要な要素として関係しているのではないだろうか。希望を取り戻して町中をかけまわる、無邪気なジョージをながめて思う。
ジョージは善意の人ではあるけれど、好きな人に対して素直になれなかったり、うっかりミスを犯した叔父さんをひどく責め立てたり、イライラを家族にぶつけたりとけっこう嫌な面も多い。ポッターの甘言に一瞬いい気になってしまうシーンすらあり、実に人間くさいのだ。だからこそ、誰もが自己投影しやすいのかもしれない。
また、恋敵がいつのまにか親友になっていたのは解せないし、弟の戦争での英雄話はちょっと不快だった。時代もあるだろうし仕方のないことだけれど、戦争ではない他のことで国の英雄となり町に凱旋して来て欲しかった。
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