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[コメント] 眉山(2007/日)

宮本信子という女優を過小評価していた自分を恥じる。そして作品を彼女に託した監督も立派。
sawa:38

料理屋で娘の松嶋菜々子と対峙するシーン。母の勝手を責め立てる娘の言葉を「受ける」シーンでカメラは「喋る」松嶋菜々子ではなく、「受ける」宮本信子の表情を捉え続けた。犬童一心監督は女優宮本信子の力量を知っていたからこそのカメラ割りだったのだろう。

「そのシーン」を託された女優宮本信子はここで見事に応えた。わずかなカットの中で彼女は微動だにしない正座姿のままで、そう、僅かな頬の筋肉の収縮だけで、あまりにも多くの感情を表現してみせたのだ。

驚き・困惑・苦笑い・寂しさ・毅然・不安。何とも私の拙い文章ではどうにも巧く表現が出来ない程の感情表現をしてみせたのだ。

本作はあまりにもベタなストーリーが故に物語性には新鮮味も特記すべき事項も無い。本作で語られるべきは安定した(正攻法)画づくりを除けば、宮本信子という女優力しかないのが事実である。

夫の故伊丹十三監督とのセット女優としか捉えていなかった自分が恥ずかしくなった。作品全体を自分の色で染めてしまう程の力量で圧倒していく演技。監督が彼女を起用(とういうか託した)経緯が良く理解できた。邦画界の今のポジションならば再売出し中の富司純子辺りが順当だもの・・・

PS,松嶋菜々子大沢たかおのコンビは取り立ててどうこう評論すべきものはないのだが、このコンビはTV『劇的紀行・深夜特急』(1996-1998)のコンビなんですよね。先月この三部作にたまたま嵌まってしまった私としては、とても平常心で彼等ふたりを見る事が出来ない状態です。このことが★4の原因になったとは考えたくはありませんが・・・

(評価:★3)

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